インプラントは体に埋め込む物の総称として用いられます。医療では股関節インプラントに代表される間接部のインプラントが一般的ですが、このページのインプラントというのは歯科インプラントのことで、歯を失った人が自分の歯の変わりに顎の骨の中に埋め込む、人工の歯(人工歯根)の話のことです。


左の写真が骨内に埋め込まれるインプラント本体部分で直径4ミリ長さが12ミリ程度がスタンダードな大きさで、ネジのような形状が一般的です。右の写真は骨内に埋め込まれたインプラントに歯を作る為の土台にアバットメントと呼ばれる歯を接合する土台の写真で、インプラントが骨としっかりくっついた後にネジ止めされます。
結論から先に言うと使用するインプラントの必須条件として、世界中でどこの国でもパーツが入手可能な大手企業の人気のある定番インプラントが良いです。なぜならば、あなたが今後海外で生活する可能性があるからです。事実この前フランス人の先生がインプラント治療途中の患者様を「後は頼む」と紹介されましたが、ノーベルバイオケア社(現在世界No1シェア)のスピィーデーグルービーインプラントだったので、当院にはこのインプラントに適応するアバットメントの在庫が常時あり、即日対応できました。吉岡歯科医院では現在世界No1からNo5までのインプラントを常時在庫保有し、これらインプラントに対応可能なインプラント外科補綴キットとインプラントアバットメントの在庫を持っています。日本の大学病院やインプラント治療の最高峰と言われるニューヨーク大学やチームアトランタでも主たる大メーカーのインプラントを複数ブランド揃えて使用しています。
2009年現在インプラントメーカーは世界中で50社以上有り、その多数のインプラントメーカーが複数のインプラントシステムを販売しています。一つのメーカーでも複数のインプラントシステムを販売しているという事実は、一つのシステムで全てのケースに対応することは不可能であることを意味しています。現実に業界最大大手のノーベルバイオケア社が現在世界に向けて広告宣伝しているインプラントシステムは歴史があることで有名なブローネマルクインプラントではありません。日本では未発売の全く異なる形をしたノーベルアクティブというインプラントが主力商品です。ちなみにこのインプラントシステムは歴史のあるノーベルバイオケアが開発したインプラントではなく、イスラエル製のインプラントのパテントを購入して製品化したインプラントです。私たち開業医は少ないインプラントシステムで全てのケースに対応出来ればインプラント本体もアバットメント(土台)も手術器具を最小限揃えれば良い訳で、経済的にもスペース的にも、在庫管理の手間、もろもろ大変楽な訳です。しかし私の医院(吉岡歯科医院)でも、現実的には、ノーベルバイオケア社で3システム(ブローネマルクインプラント、リプレイスインプラント、ノーベルダイレクトインプラント)を保有しており、その他にストローマン社(ITIインプラント)バイオネット社(3iインプラントで2システム)フリアデント社(アンキロスインプラント)イノバ社(エンドポアインプラント)ジーシー社(セフィオインプラント、ジェネシオインプラント)バイコン社インプラントを採用して、多くの症例に対して使い分けています。
それぞれのインプラントシステムに一長一短があり、ケースによってベストなインプラントシステムが異なるからです。
レースにおいて、コースや路面、走行時間、車、走行パターンによって各種のタイヤを使い分けるように、選択肢がないと、不利な条件で勝負をすることになり、その結果を患者様に強いることになってしまいます。
ですから、ニューヨーク大学やチームアトランタの様に、患者様の顎堤や骨の条件、即時負荷や骨移植などの多様なケースに対して大手メーカーの複数のインプラントシステムを常時行っている医院が良いと思います。

インプラント治療を行うには、インプラント手術の内容に応じた環境が必要になります。吉岡歯科医院は無菌手術室はありますが、入院設備はありません。当院に宿泊することは可能ですが、24時間ドクターを宿直させるのは無理なので、その場合は提携病院のベッドを借り、そこの病院でインプラント手術を行い入院してもらいます。上の写真は脛骨移植が必要なケースで中部労災病院のオペ室で私、吉岡喜久雄が手術しているところです。真ん中の拡大鏡をはめて執刀しているのが私で、左の横顔の男性は吉岡歯科医院の今村先生です。私は中部労災病院の嘱託医で、今村先生は病院診療所連携医なので、こうような方法がとれます。
もし100人インプラント手術をできる先生がいるのなら必ず上位2%の先生にお願います。どの業界でも上位5%は優秀で上位2%はミスを全くしないからです。しかし、現代はブラックジャックのようにたった1人の医師がたった一人の助手の2人だけで手術をするような時代ではありません。複雑な多種多様なケースに的確に対応する為には設備と人材が揃った環境が必要です。私自身20年前はスタンドプレーでブラックジャックを気取ってインプラント手術をしていましたが、現在には通用しません。時代遅れです。
現代水準のインプラント治療を行うにはCTやシンプラントなどのインプラントシュミレーションソフト、無菌化された手術室などの設備や優秀なスタッフ、滅菌システム、インプラント経験年数、インプラント症例数、経営状態、アフターフォローをする後継者の存在など多くのポイントがクリアしていることが重要です。同じ建物を造るのにも一人の大工で作れる家とゼネコンでなければできない仕事があります。その時はたった1本の簡単なインプラント手術かもしれませんが、年数が経つと他の歯が次々と駄目になり、大掛かりなインプラント治療が必要になることがしばしばあります。インプラント治療を受けるのなら、はじめから、ゼネコンクラスの経験設備の医院でインプラント治療した方がアフターフォローを考えると無駄がなく、結局はお得だと考えています。営繕仕事がメインの歯科医師に鉄筋コンクリートの近代建築を任せるのは無謀です。
私は典型的な名古屋人です。名古屋人はリスクと後ろ指を指されることを嫌います。絶対に失敗をしない、万全を期す、無理無茶はしない、確実安全を選択します。私は特に慎重で臆病者で小心者です。リスクや冒険を嫌います。株もパチンコもしません。そういう面白くない人間なんです。私は仏が20人以上いる旧家の長男で、幼少のころから祖父から「多くの人の為になる、徳のある行動をせよ。それが家と子孫の繁栄につながる」という教育を受けてきました。要するに「私と私の家族の幸せは、私がより多くの人に対して、より多くのメリットを供給することにより成り立つ」という教育です。幼少の私は無条件で信じることを要求され、なんか「自分の幸福が欲しいのなら、他人の幸福を全力で考えよ」という発想は、違和感がありましたが、幼少の頃から洗脳され、結果としては現在では私は大変幸福な毎日を実感できる日々をおくっており、神と仏と先祖に節操なく感謝しています。また全く根拠はありませんが、この家訓は素晴らしいと信じるようになりました。幼少期の私は母親の笑顔が大好きでした。母は私が良い行いをしたり、良い成績をとるととても喜んでくれました。母親に褒められる為に小学校では勉強して、良い行い?をして、児童会長をやりました。その後、地元中学から明和高校に入学しました。もともと小学生低学年から油絵を描き続け、賞という賞を総なめした実績を持ち、ますますアートに目覚めた私は、将来は美術の教師をやりながら、世間に認められることの無い、偉大な芸術家になることを夢みましたが、美術の教師というのが採用枠がほとんどない職種と知らされ、手先が非常に器用だったので向いているかと思い、歯科医師という職業を選択しました。
名古屋人が家を建てるときは業者選定に際し、自社ビルを会社保有の土地に建てているか?にこだわります。また、会社の経営状態を調べます。後継者を調べます。その他、過去の仕事、実績など全てを評価してから依頼するかどうか決定します。
現在、歯科という業種は大変不況な業種です。当院にはインプラントを手術した医院がなくなってしまい、難民のようなインプラント患者様が沢山来院します。駅前や中心地のテナント料はたいへん高価な上、広告費をかけないと集客できないので、経営的に不安定な医院が多いのが実情です。インプラント治療は洋服やバックを購入するのとは違い、20年後、30年後も管理が必要となるのです。通いやすいなどの安易な理由でインプラント治療を受ける医院を決めるのはやめてください。20年後、30年後も医院が存在し続ける基盤が揃っている医院で治療を受けるべきです。インプラント治療のベテランになる為には、予後や経過、対処方など20年程度はかかります。つまり、歯科大学を24歳で卒業して、すぐインプラント治療を始めたとして、45歳くらいでようやく「経験豊富なインプラントドクター」となれる訳です。しかし、45歳のドクターがインプラント手術をして30年経つと75歳になっている訳です。50歳を過ぎると、目が悪くなり、長時間の難しい手術はしんどくなります。私は息子(次男)を愛知学院大学歯学部に通わせています。彼は東海高校から推薦で無試験で入学しました。現在は4年生です。息子は特待生となりましたので、おそらく卒業して歯科医師になることは十分な学力と勤勉さがあると思います。本人はインプラント治療に興味を持ち、私の後継者であることを自覚して行動しています。ちなみに、吉岡歯科医院のHPは息子の作品です。あなたのインプラントを責任もって管理できる後継者がいる医療機関を選択することが重要です。(ちなみに長男は岐阜大学の医学部の5年生です。彼は私の弟が名大出身の医師で、その影響を受けて医者の道に進みました。)
私は自分の師匠「川村貞行」という歯科医師に出会い、憧れ惚れました。今でも敬愛しています。彼は日本に「患者の為に最善を尽くす歯科医療」を説きました。「プロとしてスキルを磨き、人として高潔であれ」「患者を愛し畏敬の念で接しよ」「常に正直で誠実であれ」「努力と忍耐を尊べ」「家族を愛せよ」などなど、川村語録はありますが、傑出した歯科医師としての能力、裏表のない正直で誠実な人柄、奥様と御子息、家族を敬愛していること。全てが私の生きる指針となりました。

上は吉岡歯科医院の手術室です。大学病院や総合病院の手術室を専門に手がける美和医療器機に大学病院と同じ仕様で作らせました。
通常のインプラント治療を行うだけならこれだけの設備は過剰投資ですが、サイナスリフトや頸骨採取を行うのなら必要です。

AAP(米国歯周病学会)というのはアメリカで一番歴史のある学会で、私は会員になって10年が経過しました。毎年秋にある年次大会に出席しています。アメリカにはAOというインプラントの学会もあり、私も会員ですが、規模的にも内容的にもAAPが世界一のインプラント学会です。
アメリカではインプラントは主に歯周病専門医が手術しています。インプラント治療は歯周病治療の延長に位置づけられているからです。インプラント治療が主体の吉岡歯科医院でも、大学の歯周病科に5年在籍したベテラン歯周病医の今村先生と神原先生がいるのも、そういう理由からです。
AAPに出展されているインプラントはFDA(米食品医薬品局)が認可しており、安全であり、世界に通用するインプラントであると考えられてます。
ちなみに日本製のインプラントはありませんでしたが、現在ジーシーインプラントが世界デビューに準備中です。以下の写真は2008年のシアトルのAAPの企業展示の様子です。上の写真はシアトル全景です。
以下の写真はAAPに出品しているインプラントメーカーのブースで、世界規模の市場に出回っているインプラントシステムです。
ここのマイナーなインプラントメーカーをトップに持ってきたのは、私自身すごく想いが強いインプラントだからです。このメーカーの主力商品のエンドポアインプラントはとにかく、患者様に対する「最小限のダメージ」で開発された最小のインプラントで、真に患者様主体のインプラント治療を提案したメーカーです。
マイナーと書きましたが、アメリカやカナダではマイナーではありません。けっこうメジャーなインプラントです。

現在歯科業界は吸収合併が頻繁に行われイノバ社は現在サイブロンデンタルという世界第2位の巨大歯科グループの一員となりました。上の写真は2008年9月のAAPのサイブロンデンタルの企業ブースです。今回はアストラインプラントとITIインプラントが合体したような新型インプラントを展示していました。
エンドポアインプラント
このインプラントはカナダの国家プロジェクトで開発された、整形外科領域での人工股関節の表面構造を応用したインプラントです。わずか5ミリの骨量で安定した結果を出すことが出来るという現在最も小さいインプラントで、吉岡歯科医院では骨が少ないケースでは積極的に使用しているインプラントです。2000
年と2001年の論文で少ない骨量で100パーセントの成功率を達成している優秀なインプラントです。このインプラントの開発メンバーであるトロント大学のデポーター教授本人に直接インプラントケースを見せてもらい、その実績に驚嘆し、10年前から吉岡歯科医院で採用しています
。
上の写真がエンドポアインプラントのポスターですが、天然歯の半分の歯根長のインプラントで歯を支えるというコンセプトです。
インプラントの表面は股関節インプラントや膝間接インプラントに用いられるビーズ状のチタンのつぶつぶが溶着されています。
ピットイージーインプラント
ピットイージーインプラントとアナトミックインプラントはドイツオラトロニクス社の製品でしたが、現在アメリカではイノバが販売しています。当然サイブロンデンタルのメンバーです。このピットイージーインプラントはノーベルバイオケア社が現在最も力を入れている新製品のノーベルアクティブインプラントに形状が酷似しています。

アナトミックインプラント
この形状のインプラントは他にはないオリジナリティーが有ります。日本国内ではこんな形状のインプラントは見たこと有りません。

バイオメット社 3iインプラント


3iインプラントは、現在では実質世界第2位のインプラントメーカーです。そもそもはブローネマルクインプラントの成功率を高め、臨床的に使いやすくしたインプラントシステムで、Drラザーラが開発したインプラントです。1965年に発売されたノーベルファルマ社(現ノーベルバイオケア社)のブローネマルクインプラントは、インプラント表面が機械研磨表面であまり骨と結合しない性能の低いインプラントでした。上顎臼歯部でのインプラントのオッセオインテグレーション成功率は65%程度でした。3iインプラントは、このブローネマルクインプラントの骨とくっつかない表面性状を酸で処理をして骨と強固に結合する「オッセオタイト表面」に改良しました。このインプラントの表面性状は現在のほとんどメーカーのインプラントメーカーのインプラントサーフェースの基礎になっています。3iインプラントは創立者のDrラザーラが株を手放し、現在は大手バイオメットの傘下に入りました。
臨床的には現在インプラントの主流になっている骨と早期に結合しやすいラフサーフェースと呼ばれるオッセオタイト表面を1987年に発売し、全米でブレークしてから現在ではアメリカでは2位、イアタリア、スペインでは販売1位のインプラントです。このインプラントは骨移植などの高度な手術を得意とするドクターや大学関係者に好まれる傾向があります。
3iインプラントはその後プラットフォームスイッチングという概念をインプラント業界に広めました。3iインプラントはハイブリットやナノタイトなど表面構造と形状とコネクションシステムが多数有り複雑なインプラントシステムですが製品名称としては下記の種類が有ります。
ナノタイトインプラント オッセオタイトインプラント プリベールインプラント サーティンインプラント XPインプラント
3iインプラントはアメリカにおいては、ポピュラーな使いやすいインプラントのイメージですが、日本においてはジアズというマニアック集団(ちなみに私も会員です)が使用しているため、マニアックなスペシャリストが使用するインプラントというイメージが定着してしまい、少々販売面で苦戦しています。現実的にはイージーなインプラントでおすすめです。
今月、3iインプラントの招待でニューヨーク大学の卒後研修プログラムを受けてきました。
アメリカはノーベルと互角以上の評価を得ているインプラントブランドです。
デンツプライ社

現在世界第1位の歯科商社でインプラントでは下記のアンキロスインプラント、ザイブインプラント、フリアットインプラントを販売しています。

アンキロスインプラント
アンキロスインプラント吉岡歯科医院で最近積極的に仕様している インプラントです。アンキロスインプラントの一番の特徴は術後骨が吸収しないところです。この現象とシステムを3iインプラント社ではプラットフォームスイッイングと呼んでおり
、現在全てのインプラントメーカーがこの原理を応用する製品を開発しています。アンキロスインプラントはその最右翼で20年前からこの形状です。全体的な形態もノーベルバイオケアの新製品であるノーベルアクティブインプラントに酷似しており時代の最先端を20年前からクリアしていたという優れものインプラントです。ジルコニアアバットメントを最も早く製品化したのもこのアンキロスインプラントです。

上がアンキロスインプラントが骨に埋まった状態です。このインプラントは全ての面で非常に優れたインプラントですが、インプラント先端にセルフカッティング能力が無いことと、50ニュートン以上の力で埋入しようとすると安全装置が働いてインプラント本体からマウントが外れてしまうことです。アンキロスインプラントの最大のメリットはカバースクリューがインプラント本体とスリップジョイントで接合されている為、ブローネマルクインプラントタイプのアウターヘックスインプラントで2次オペ時にしばしば経験するカバースクリュー周囲の骨が吸収しているということが全くありません。骨移植、骨造成と同時埋入インプラント手術をする場合にはベストなインプラントです。

ザイブインプラント
ザイブインプラントはドイツ国内では非常に評価の高いのインプラントです。補綴パーツの種類も豊富で、古くからジルコニアなどの現在流行の素材を用いており、最先端をいくインプラントです。また、太さも多数用意されており、ケースを選ばないインプラントとしての評価も高いです。


フリアット2
現在は無くなったインプラントシステムですが、30年程度前、日本国内でオッセオインテグレーションタイプのインプラントとして日本国内でブームを呼んだインプラントとしてブローネマルクインプタントとITIインプラントとIMZインプラントがありました。現在のインプラントシステムはネジ状のインプラントが主流ですが、IMZインプラントはネジ形状ではなくシリンダー形状といい試験管のような形をしたインプラントでした。IMZインプラントがモデルチェンジしたのがフリアットインプラントです。フリアットインプラントは先に行く程段階的に細くなり、歯根の形態を模倣したインプラントで、IMZインプラントからの乗り換えで流行りましたが、現在はアンキロスインプラントにスイッチされつつあるようです。現在インプラント埋入位置の考え方は前歯部においては、もともと歯が埋まっていた位置と同じ場所ではなく、内側に埋めることが主流ですが、当時は歯を抜いた穴に、スポッとインプラントをはめ込むような考え方でした。20年でインプラントに対する考え方や、インプラント治療のプロトコルは変貌を遂げました。
上記の模式図がフリアットインプラントのコンセプトを物語っています。このインプラントは発売当初はトラブルが多いインプラントとしても有名でした。骨と結合が良くないインプラントとの評判でしたが、その後改良されましたが汚名の完全な払拭はできないインプラントでした。現在でも販売している現役のインプラントですが、現時点においては過去のインプラントシステムとして扱われています。
アストラ社 アストラインプラント

スエーデンではポストブローネマルクインプラントです。インターナルコネクションの草分けです。日本ではOSIの原先生、伊藤先生、寺西先生の門下生が使用しています。また、このインプラントは以前はササキから購入できたので、購入経路が直販ではまずい大学病院や公的病院の口腔外科での使用から日本では広まった模様です。日本においては、ノーベルバイオケアインプラント、ストローマンインプラント、ジンマーインプラントにつづく第4位の販売実績のインプラントです。日本国内のインプラントシェアでは7.5%あり、昔の京セラインプラント、現在のJMMインプラントと同程度のシェアがあるのです。 3iインプラントやジーシーインプラントよりシェアがあるのは ブローネマルクインプラントからの乗り換えが多いのも要因かと考えます。


そもそもはストライカーが開発したインプラントで1985年から規格を変えていない老舗インプラントです。手榴弾に似た樽状のへんな形のインプラントと思う人もいるかもしれませんが、薄くて長いフィン形状(厳密に言うとネジ構造のインプラントでは無い)のインプラントは今後の主流になる予感がします。日本で最初にできたインプラントセンターの使用しているインプラントもブローネマルクインプラントからアストラインプラント、現在はバイコンインプラントにインプラントシステムを変更しています。バイコンインプラントは海外の学会でも大きなブースを構えておりなかなか盛況です。以前ニューオリンズでのAAPでは地元のケーブルテレビの1CHを朝から晩までバイコンインプラントのプロモートに使っており、さすがアメリカ発のインプラントメーカーとびっくりしました。この樽のような形状は愛嬌があります。ここのボストンのインプラントセンターには平山先生という愛知県出身の先生がいて、先日はボストンのバイコンインプラントセンターとインターネット回線で繋、インプラント手術のライブオペを見せてもらいました。

バイコンインプラントの大きな特徴の一つにインプラント本体とアバットメント(土台)の接合がネジ止めでなく、機械的なモーステーパーによる勘合力であるということです。ネジではないのでアバットメントはインプラント本体に小さな金槌で打ち込まれて固定されます。
カムログ社 カムログインプラント
キルシュが作ったドイツの名門インプラントです。ノーベルバイオケア社のリプレイスがこの3つのカム構造を応用したといわれています。ドイツでは主流のインプラントですがAAPでは小さいブースで寂しげでした。

ジンマー社というのは整形外科領域では巨大メーカーで股関節インプラントなども扱っています。歯科インプラントメーカーとしてもかつてはコアベントインプラントからの長い歴史がある老舗インプラントメーカーです。コアベントインプラント、スクリューベントインプラント、センタープラスなどなど名前を思い出せないくらい吸収合併を毎年繰り返し、現在では世界第4位の巨大インプラントメーカーです。ただ、今回のAAPのブースでは直径3ミリのノーベルダイレクトインプラントを彷彿させるワンピースインプラントのみの出品でした。以下の写真は2005年のAAPの時にジンマーのインプラント工場に招待された時の写真です。

アメリカサンディエゴ近郊にあるジンマーのインプラント工場の入り口

盟友伊藤先生と

ジンマーインプラント工場内部(インプラントを作っているというより機械部品の工場みたいでした)


インプラント検査行程
ジンマーはそもそも大手医科のメーカーですが、どんどん会社を吸収して大きくなった会社です、この会社が扱っているスクリューベントインプラントはそもそもはコアベントインプラントという古くからあるアメリカのインプラントメーカーの製品です。カルシテックインプラントも傘下に入れ今やノーベルバイオケアインプラント、ストローマンインプラント、3Iインプラント、デンツプライインプラントに次ぐ大手インプラントメーカーになりました。ジンマーのインプラント工場を視察に行きましたが、かつては別会社のカルシテックインプラントとスクリューベントインプラントが同一の生産ラインで製造されており、MP-1の表面処理が同じテーブルで同一の作業工程で行われていました。日本ではカルシテックインプラントというチタンインプラントならぬHA(ハイドロキシアパタイト)インプラントが大人気インプラントです。このHAインプラントの骨との結合はオッセオインテグレーションではなく、バイオインテグレーションと呼ばれています。骨質の悪い日本人にとっては神様のインプラントと崇める人もいますが、かつてあれだけ人気があったHAインプラントが世界のインプラント市場から撤退した原因を作ったのは、現カルシテックインプラント社が製造した HAインプラントの長期予後が悪かった為という歴史的事実を日本国民以外のインプラントロジストは現在でも覚えている為です。現在でもHAインプラントを主力インプラントにしているインプラントメーカーはカルシテックインプラントとバイコンインプラントだけです。3iインプラントのナノタイトインプラントもHA(ハイドロキシアパタイト)が骨を寄せやすい性質を利用したインプラントですが、 3iインプラント表面のHAは早期に吸収するのでHAインプラントではなくオッセオインテグレーションをおこすチタンインプラントです。
スクリューベントはインターナルコネクションを早くから製品化したメーカーですが、発売当初インプラントフィクスチャー自体が破折するというトラブルが頻発しました。現在はインプラント体の材質を純チタンからチタン合金に変更することによりこの問題は解決したようです。インターナルコネクションのインプラントはネジが緩みやすいというアウターヘックスコネクションの欠点を克服したかのように見えますが、リプレイスインプラントやアストラインプラントのようにインプラント本体が破折するというリスクが高くなります。また、ジンマーインプラントにはストローマンインプラントそっくりのスイスプラスインプラントというインプラントシステムがあります。3iインプラントもブローネマルクインプラントをコピーしたのですが、一流品のイメージがあり、ストローマンインプラントをコピーしたスイスプラスインプラントが二流品のイネージなのは私の偏見のせいでしょうか?日本ではジンマーに合併される以前の販売ルートで現在も販売されています。カルシテックインプラントは白鳳、スクリューベントインプラントとスイスプラスインプラントはインプラテックスが販売しています。



現在このメーカーの主力インプラントは直径1.8ミリのミニインプラントで簡易インプラントとして、骨幅がない場合や力がかからないような義歯の維持のみの利用がメインです。今回のAAPのスチュアートフロムの講演では顎堤の幅の無い下顎前歯部に応用して、良い結果をだしているとのことでした。イムテックインプラントと同様の細いインプラントとしてはデンタータスインプラントもブースをだしていました。イムテックインプラントがパーマネントな使用を基本としていますが、このデンタータスインプラントシステムはレールを用いたテンポラリーインプラントシステムでした。私も2年ほど前AAPで購入して使用してみましたが、下顎でも大臼歯部や小臼歯部は1ヶ月で機能しなくなります。細いミニインプラントは下顎前歯部のみ、比較的安定しているインプラントと考えた方がよさそうです。

ストローマンインプラントは世界第2位のシェアを誇るインプラントメーカーです。現在はストローマンインプラントと読んでいますが20年前はITIインプラントと読んでいました。私はこのITIインプラントからインプラントを始めました。元々は1回法インプラントとしてデビューしましたが、現在ではすぐ下のイラストのようにボーンレベルインプラントの2回法インプラントを主力商品にするようです。日本国内においては未だ1回法用のインプラントヘッドの直径が4.8ミリもある旧タイプのインプラントのみの発売(細いタイプもあるが、同様なラッパ状形態のインプラント)で、近年、ITIインプラント離れが進んでいます。日本において昔からのITIインプラント(現ストローマンインプラント)のセミナー講師達までが次々とストローマンインプラントを離れ、他のインプラントに乗り換えているのです。ストローマンインプラントが他のインプラントメーカーに乗り換えられてしまう理由として、前歯部の審美領域に使用が難しいインプラントだからというのが一番大きな理由のようです。がんばれ!ストローマンインプラント

上のインプラントは海外では主流となったボーンレベルのアクティブと呼ばれるインプラントですが、賞味期間の短さとバカ高い価格で悪評判のインプラントです。このインプラントは日本での発売はまだですが、薬事承認がとれてもどのくらい売れるかは謎です。下はストローマンボーンレベルインプラントの構造図ですがアンキロスインプラントそっくりです。



現在日本では白水貿易が輸入しています。が、アメリカではキーストーン社に属し、新製品のプリマインプラントの展示しかありませんでした。消え行く宿命でしょうか?このインプラントの特徴は他のインプラントメーカーの寄せ集めのようなインプラントシステムです。ブローネマルクインプラントや3iインプラントのアバットメントは互換性があるようです。
バイオホリズン社 マエストロインプラント
実は現在アメリカで最も勢いのあるインプラントメーカーはここです。でも新参者のインプラントメーカーではなく、老舗インプラントメーカーです。昔からなじみのインプラントメーカーでしたが、ここ急成長の注目インプラントとなりました。企業主催の講演でもピコスとマイロンネービンスをとりこみ怖い物無しという勢いです。普通のインプラントはインプラント本体にアバットメントを連結後荷重を掛けると、インプラント頚部の骨が1.5ミリほど皿状に吸収します。現在このインプラント頚部の骨吸収を防ぐ手だてとしてプラットフォームスイッチングと呼ばれる方法があります。3iインプラント、アンキロスインプラント、アストラインプラント、バイコンインプラントが応用している方法ですが、インプラント本体の頚部直径より、細いネックのアバットメントを装着することにより、安定した結合組織のバンドを作り、インプラント頚部付近の骨吸収を防ぐというシステムです。しかしながら、この方法は通常サイズのアバットメントを使用する場合にはそれ以上に太い頚部を持ったインプラントを使用する必要があり、骨幅の狭い前歯部の使用には限界があります。そこで、通常サイズのインプラントを使用し、細いサイズのアバットメントを使用すると今度は強度的にリスクが高くなってしまうのです。
このインプラントは骨と良くくっつくレーザーエッチングされたインプラント表面構造により、プラットフォームスイッチングをしなくてもインプラント頚部の骨が落ちません。これが本当に長期に安定するのなら、まさに新時代のインプラントです。日本ではこのバイオホリズン社のインプラントはカイマンデンタルが扱っています。

ノーベルバイオケア社
世界最大のインプラントメーカーでジョンソン&ジョンソンに買収されるという噂で持ち切りです。
現代インプラントの基礎と言われるブローネマルクインプラントを作り出したのはこのメーカーです。前CEOのパメラの強引な手法が災いし、近年インプラント学会がインプラントメーカー主導によりインプラント業界全体を支配する傾向が強すぎるという悪い評判の火種はこのインプラントメーカーです。インプラント業界のマイクロソフトです。ただ、新時代を作るという点ではぴか1で、ノバムシステムやノーベルダイレクトの様に完成度が低いインプラントシステムを販売し、事実上撤退しているインプラントシステムも多々あります。最近タイユナイト表面がインプラント周囲炎を引き起こしやすい、とか、ノーベルガイドによる即時補綴は15パーセントはうまくいかない、などインプラント業界のトップ企業には似つかわしくない話題が多いメーカーです。ノーベルガイドはシンプラントの特許を侵害していると訴訟中でもあります。

商品としては、ブローネマルクインプラント リプレイスインプラント ノーベルダイレクトインプラントがありましたが、
スピーディーインプラント グルービーインプラント ショーティーインプラントが加わりました。
このメーカーが作る他のメーカーには無いインプラントシステムとしてザイゴマインプラントと呼ばれる長さが50ミリ程度ある頬骨に即時負荷をかけるタイプのインプラントもあります。
左上の写真はイスラエルで開発されたノーベルアクティブです。まだ、長期経過の論文は出ていませんが、現代のインプラントのトレンドを全てつぎ込んだようなインプラントです。右上の写真はリプレイスインプラントですがステリオスインプラントのボディーにカムログインプラントのアバットメントという良いところは全ていただきのインプラントメーカーです。よそのインプラントの良いところを利用することは悪いことばかりではありませんが、反面ブローネマルクシステムの歴史を強調するのは卑怯なような気もします。
現在では泣く子も黙るノーベルバイオケア社ですが昔はノーベルファルマ社と言っていました。このころは骨との結合の悪いインプラントで、インプラントのデリバリーシステムもなっていない、常時欠品だらけのインプラントメーカーでした。このノーベルファルマ社のインプランターDEC100とトルクコントローラーがある歯科医院は老舗のインプラントロジストです。なんだかんだといっても世界最大シェアを誇る巨大インプラントメーカーで無視することはできません。早く日本でもノーベルアクティブインプラントを日本で発売して欲しいです。

ちなみに、スピィーディーグルービー、スピィーデイーリプレイス、スピーディーショーティーが発売になり早速使用してみました。
2ミリのパイロットドリルだけでスピーディーは骨に入っていきますが、調子に乗っていると骨が割れますので要注意!
SPIインプラント
日本ではモリタが輸入販売しているインプラントです。最強のインプラントと鳴り物入りの発売でした、残念ながら最近ではあまり人気はないようです。
どうもモリタがからむと販売不振になるジンクスがあるような気がします。

AAPへ行くと、遊びじゃなくて仕事に行ったことを従業員と計理士にアピールする為に、看板の前で写真を撮影します。

当時絶好調の私は名古屋のインプラント専門医と称し、AAPの看板の前で偉そうに記念撮影中の吉岡喜久雄です。
この時は2005年サンディエゴのAAP会場で当時45歳です。3年前です。

上の写真は昨年2008年のシアトルAAP(アメリカ歯周病学会)での48歳の私です。
上の2005年当時と比較すると、3年でかなり太り老け、自分の容貌にがっかりしました。インプラントのことはようやく最近分かってきたというのが本音です。肉体的なピークを通り越したところに、真実が見えてくるというところです。インプラントの本場アメリカでも現在の吉岡歯科医院は世界最高のインプラントセンターとしてなんの遜色ないレベルだと自負しています。