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私がインプラント治療を受けるのなら。
私は全て歯が揃っており、現時点でインプラント治療を受ける必要はありません。でも、例えば交通事故にでもあって歯が無くなってしまったらどうするでしょうか?
インプラント手術を一般的な商品と考えれば、近くて早くて安いのが手軽で良いということになりますが、安物買いの銭失いというのは困ります。インプラント治療は日進月歩で10年前の仕事では現在は許されません。きちんと手入れすれば、15年以上、うまくいけば生涯その人工の歯を使うことになるのです。また、安全、確実だけでなく、審美的、すなわち、自分が見ても、他人が見ても、どこの場所にインプラントが埋めてあるのか、分かるようなインプラント治療は失敗です。
もし100人インプラント手術をできる先生がいるのなら必ず上位2%の先生にお願います。どの業界でも上位5%は優秀で上位2%はミスを全くしないからです。完璧を期待するのであれば上位2%の人に頼むべきで、近くだからとか、安いからとか、知り合いだからという理由では、絶対依頼しません。上位2%の先生は類い稀な技術を持って常に最新の情報と知識を収集して最高の結果を出してきまが、料金が2倍ということはあり得ないからです。私自身は上位2%にいつも入っているように努力していますが、料金が他の医院より割高であるという訳ではありません。通院に時間がかかろうとも、治療期間にしたら1年以上かかるケースは稀で、月に1〜2回の治療で大丈夫な筈です。通院の簡便さで医院を選択することは間違いです。仕事は有休休暇をとって通院するべきです。貴方の仕事が終わった後で通院するなんてことを考えてはいけません。夕方は医師も疲労していますし、医院も混雑しており十分な診療をうけることは不可能です。確実な結果を要求するのならば、仕事を休んで治療時間を作る必要があります。心臓のバイパス手術を受けるのに仕事が終わってからなんてことを考えますか?
まず、インプラント治療はどこの歯科医院でも受けられる、一般的な治療ではありません。心臓のバイパス手術程ではありませんが、特殊な治療です。インプラント手術は熟練を要しますので、年間100本以上の症例数をこなしている先生が望ましいと思います。また、インプラント治療には高価な機材や手術機械、心電図や血圧、心拍、酸素飽和度などの血液モニター、インプラントのスペアを含めた在庫など、金額的に専門医しか揃えることの出来ない材料や機材が必要になりますし、月に1回程度しか手術がない歯科医師とスタッフは経験豊富とは言えず、最高の仕上がりを要求することは無理があります。
本物の中国宮廷料理を食べたいのなら、毎日それしか作っていない宮廷料理専門店で食べるべきで、行つけのラーメン専門店で高価な食材と時間のかかる下ごしらえが必要な料理を注文するべきではない。ということです。ラーメン専門店をバカにしている訳ではなく、プロには得意分野と専門分野があるということです。
最高の仕上がりを求めるの場合、現在、貴方が、かかりつけの先生が専門医としての条件を具備しているのなら問題ありませんが、確率論から考えると難しいと思います。
私が自分がインプラント手術を受けるのなら、やはり類い稀な技術の持ち主の先生にお願いしたいと思います。その時に、「どういう技術を要求するかと」いうと「骨の状態が悪い時に骨の状態を良い状態にした上でインプラント手術ができる技術」と「治療した後が他人に全くわからないような自然観溢れる仕上がりにできる技術」の持ち主です。
これは書くと簡単ですが、両方を兼ね備えている先生を探し出すのは大変です。まず、第一の「骨の状態が悪い時に骨の状態を良い状態にした上でインプラント手術ができる技術」ですが、これは口腔外科の専門的なトレーニングを受けた先生しか不可能です。インプラントを埋める技術自体は、ある程度の時間トレーニングを積めば達成できますが、骨が足りなかったり、骨の形態が悪い場合、口の中のどこかから骨を移植したりする場合は、骨を切る、骨を固定するなどの処置が必要となります。その為には骨を切る道具や回収する道具、骨を固定する為のプレート、ネジ、チタンメッシュ、膜、などの扱いに習熟している必要があります。また、手術時間が長くなっても良いように、静脈内鎮静の技術や麻酔の知識も必要となります。現実的にこれらの特殊な技術を使わない場合でも、これらの技術がある先生の仕事はその仕上がりは抜群なのです。ただ、上記の知識や技術を修得する為には、講習会に参加する程度では不可能で、大病院の口腔外科で修行する必要があります。そこで、骨折や腫瘍、矯正の骨切除などの外科処置をマスターしていく内に身につく技術なのです。
「治療した後が他人に全くわからないような自然観溢れる仕上がりにできる技術」と書きましたが、これができる為には、スペシャルな補綴の技術と知識が要ります。当然、噛み合わせや歯の根の治療、入れ歯の治療、歯周病の治療に精通している必要があります。これは、通常の歯科医師の仕事のように思われますが、この仕事にもレベルがあります。例えばインプラントを多数埋めて、その上に人工の歯を作ることを考えます。型を取って歯科技工士が作る訳ですが、実は簡単にはいきません。すごくシビアな精度を要求されるからです。精度が悪い被せ物は見た目が悪いだけでなく、簡単に脱落したり、固定しているネジがしょっちゅう緩んだり、インプラントの仕事は普通の仕事では出来ないのです。このような仕事ができる先生は、保険外のシビアな治療を常時こなしている必要があります。保険治療が主体の歯科医院ではシビアなインプラントの仕事をすることは現実的には不可能なのです。
ラーメン専門店のコックが作った宮廷料理はやはり似て非なる物で、やはり、インプラントや保険外にセラミック治療などの健康保険外の治療が経営の主となっている医院で、なおかつ開業して10 年以上の歴史があるという医院が望ましいと思います。もし、先生の仕事の質を知りたいのなら、先生の仕事の写真を見せて下さいとお願いするとよいと思います。仕事が美しい先生は必ずあなたや他の患者さんの歯や治療の写真を一眼レフカメラで撮影している筈です。先生の過去の症例はきれいに提示できるように用意してある筈です。あなたが見た写真が完璧ならそのその先生は完璧です。写真が歪んでいたり、ピントがずれていたり、露出があっていないようであれば、その先生は二流です。そして、写真に写っている人工の歯が本物の歯と見分けがつかないように美しい仕上がりであれば合格です。
そして、意外と重要なのは医院の内装がセンスよくきれいであることです。また清掃が行き届いていることも重要です。医院が古ぼけて汚いというのは仕事が古い技術で汚いことを意味します。私が知っている名医のオフィスはすべてオシャレで洗練されていて清潔です。また、被せものを作る時に歯科技工士が直接色や形を確認に来るようであれば合格です。医院と歯科技工士が密接に連係していることが重要なのです。当院の2階は歯科技工所になっており、4人の歯科技工士が朝から夜中まで働いています。
次に歯科医師の技術があっても、ハード面で医院の設備が古かったり不十分では問題があります。私が考える安全なインプラント治療を行う上で必要最低限必要な準備はCTレントゲン撮影です。この本格的なヘリカルCT撮影装置は大変高価な機械で、当院では連係病院に撮影を依託しています。ちなみに当院が依託しているGE製の最新の機械は購入すると8億5000万円もするそうで、歯科医院で所有することは到底不可能です。この装置はデンタスキャンというソフトを内蔵しており、CTの断層像をコンピュータで組みなおして、縦のレントゲン像として映像化することが可能です。もう一つ必要なのが、サージケースプロというインプラントシュミレーションソフトです。シンプラントを買収したベルギーのマテリアル社のソフトですが、シンプラントではアーティファクトで見えない影の部分の3D化も可能なソフトです。
もう一つ私が大きな買い物をする時に重要視していることが、相手の経営状態です。今の時代は不景気で多くの企業が倒産しますが、歯科医院といえども例外ではありません。多くの雑誌その他のメディアに多くの広告を掲載し、駅前の一等地のビルに医院を構えた場合、いったい幾らくらいの経費がかかるのでしょうか?私の医院自体は自分の所有している土地に看板が2つあるだけで、広告代はHPのレンタルサーバー代くらいです。借金もなく土地建物も自分で所有しているので、経費は極めて少ない筈ですが、完全な滅菌システムと最新の医療設備を維持更新するだけで、莫大な経費がかかります。現在当院は全く空き時間がない状態でフルに稼動しているのですが、雑誌に載せる莫大な宣伝広告費と駅前一等地の莫大なテナント料を支払うだけの稼ぎはありません。現実的に通院していた歯科医院が撤退してなくなったという理由で転医してきた患者さんもいます。このようなリスクを避ける為には経営的に安定しているかどうか確認することも重要な歯科医院選びの条件と言えそうです。