書きはじめたきっかけ
当院ではインプラント治療を行うようになって14年になり、多くの人に沢山のインプラント治療をしてきました。当院にインプラント治療を希望してみえる患者さんは、自分のできる範囲内で資料を収集し、知識を得ていますが、勘違いや思い違いをしている人も多く、誤解を解く為や、私のインプラント治療に対するスタンスを患者さんへ伝える為も含め、患者さん向けの細かい資料を作らなければ、とずっと思っていました。ところが現実的に行動に移すことはたいへんで、そんな余力があるのならインプラントの予約患者さんの手術日程をもっと早く繰り上げないと、医院がパンクしてしまうという実情もあり、なかなか実現できませんでした。ところが、2003年の夏期休暇の初日(すなわち今日8月9日土曜日)私はバリ(インドネシアにある小さい島)が大好きで、今朝からバリヘ旅立つはずでした。ところが台風10号のせいで、飛行機の離陸が8時間遅れということで名古屋空港に缶詰めになり、時間を持て余したので、鞄からコンピュータを取り出して、インプラントよもやまばなしを書くことにしたわけです。当初これを製本して待ち合い室に置いて、患者さんに無料で配るか、コピー代の実費で買ってもらおうかと思っていましたが、ホームページにすれば製作や校正も全部自分1人でできるし、印刷する手間やコストは大変で、印刷屋より経費も安いし、患者さんにお金をいただく必要もないし、医院の宣伝になるかもしれないと思ったのでWeb上に書くことにしました。
このガルーダインドネシア航空という会社は摩訶不思議な会社で、今日も他の会社の飛行機は3時間の遅れで飛んでいるのですが、bali時間というのがあって、時間の単位が3倍くらい違うのです。2年程前にやはり、夏期休暇にバリへ行く日にbaliから飛行機が名古屋空港に到着しておらず、24時間遅れで現地へ到着したこともあるのです。バリでは腹も立たないのですが、日本で飛行機の離陸を待つ身としては、8時間遅れを空港で待機というのは、なんとかしてほしいもんです。(2003年の夏記)
その後ガルーダインドネシア航空は名古屋-デンパサール便を一度廃止しましたが、また今年復活しました。めでたし、めでたし。

インプラント講習会で講演中の吉岡喜久雄

インプラント界の貴公子サーシャジョバノビッチと
コンテンツ
このページのインプラントというのは歯科インプラントのことで、歯を失った人が自分の歯の変わりに顎の骨の中に埋め込む、人工の歯(人工歯根)の話のことです。


現在インプラントメーカーは世界中で50社以上有り、その多数のインプラントメーカーが複数のインプラントシステムを販売しています。一つのメーカーでも複数のシステムを販売しているという事実は、一つのシステムで全てのケースに対応することは不可能であることを意味しています。現実に業界最大大手のノーベルバイオケア社が現在世界に向けて発信しているインプラントシステムはブローネマルクインプラントではありません。日本では未発売の全く異なる形をしたノーベルアクティブというインプラントです。私たち開業医は少ないシステムで全てのケースに対応出来ればインプラント本体もアバットメント(土台)も手術器具を最小限揃えれば良い訳で、経済的にもスペース的にも、在庫管理の手間、もろもろ大変楽な訳です。しかし私の医院(吉岡歯科医院)でも、現実的には、ノーベルバイオケア社で3システム(ブローネマルク、リプレイス、ノーベルダイレクト)を保有しており、その他にストローマン社(ITIインプラント)バイオネット社(3iインプラント)フリアデント社(アンキロスインプラント)イノバ社(エンドポアインプラント)ジーシー社(セフィオインプラント、ジェネシオインプラント)を採用しています。

もし100人インプラント手術をできる先生がいるのなら必ず上位2%の先生にお願います。どの業界でも上位5%は優秀で上位2%はミスを全くしないからです。
あとCTやシンプラント、手術室などの設備やスタッフ、滅菌システム、経験年数、症例数、経営状態、アフターフォローをする後継者のポイントがクリアしていることが重要です。同じ建物を造るのにも一人の大工で作れる家とゼネコンでなければできない仕事があります。簡単な手術も年数が経つと他の歯も駄目になり、大掛かりな処置が必要になることがしばしばです。インプラント治療を受けるのなら、はじめから、ゼネコンクラスの経験設備の医院で治療した方がアフターフォローを考えると無駄がなく、結局はお得だと考えています。営繕仕事がメインの歯科医師に鉄筋コンクリートの近代建築を任せるのは無謀です。

とりあえずAAPに出展されているインプランとはFDA(米食品医薬品局)が認可しており、安全であり、世界に通用すると考えられている訳です。ちなみに日本製のインプランとはありませんでしたが、現在ジーシー社が世界デビューに準備中です。写真は2003年のものですが昨年2005年も出展メーカーの顔ぶれは同様でした。
以下のインプラント各社が世界規模の市場に出回っているインプラントシステムです。写真順にインプラントの名前を羅列しました。残念ながら日本製のインプラントはまだ世界市場には上陸していません。

エンドポアインプラント
カナダの国家プロジェクトで開発された、整形外科領域での人工股関節の表面構造を応用したインプラントです。5ミリの骨量で安定した結果を出すことが出来るという現在最も小さいインプラント吉岡歯科医院では骨が少ないケースでは積極的に使用しているインプラントです。2000 年と2001年の論文で少ない骨量で100パーセントの成功率を達成しています。開発メンバーのトロント大学のデポーター教授本人に直接ケースを見せてもらい10年前から吉岡歯科医院で採用しています 。
一番左がスタンダードなエンドポアインプラントです。
左の写真がエンドポアインプラントのポスターですが、天然歯の半分の歯根長のインプラントで歯を支えるというコンセプトです。
ピットイージーインプラント
ピットイージーインプラントとアナトミックインプラントはドイツオラトロニクス社の製品でしたが、現在アメリカではイノバが販売しています。このピットイージーインプラントはノーベルバイオケア社が現在最も力を入れている新製品のノーベルアクティブに形状が酷似しています。

アナトミックインプラント
この形状のインプラントは他にはないオリジナリティーが有ります。日本国内では見たこと有りません。


そもそもはブローネマルクインプラントを臨床的に使いやすくしたインプラントでラザーラが開発しました。現在は大手バイオメットの傘下に入りました。
臨床的には現在の主流になっている骨と早期に結合しやすいラフサーフェースと呼ばれるオッセオタイト表面を1985年に発売し、全米でブレークしました。
その後プラットフォームスイッチングという概念をインプラント業界に広めました。表面構造と形状とコネクションシステムが多数有り複雑ですが製品名称としては下記の種類が有ります。
ナノタイトインプラント オッセオタイトインプラント プリベールインプラント サートゥンインプラント XPインプラント
アメリカにおいては、ポピュラーな使いやすいインプラントのイメージですが、日本においてはジアズという集団(ちなみに私も会員です)が使用しているため、マニアックなインプラントというイメージが定着してしまい、少々販売面で苦戦しています。現実的にはイージーなインプラントでおすすめです。

現在世界最大の歯科商社でインプラントでは下記のアンキロスインプラント、エグザイブインプラント、フリアットインプラントを販売しています。

アンキロスインプラント
吉岡歯科医院で最近積極的に仕様している インプラントです。一番の特徴は術後骨が吸収しないところです。この現象を3i社ではプラットフォームスイッイング
と呼んでおり
、現在全てのインプラントメーカーがこの原理を応用する製品を開発しています。アンキロスはその最右翼で20年前からこの形状です。全体的な形態もノーベルバイオケアの新製品であるノーベルアクティブに酷似しており時代の最先端を20年前からクリアしていたという優れものインプラントです。



エグザイブインプラント
ドイツ国内では人気のインプラントです。補綴パーツも抱負で古くからジルコニアなどの現在流行の素材を用いており、最先端をいくインプラントです。
また、太さも多数用意されており、ケースを選ばないインプラントとしての評価も高いです。


フリアット2
現在は無くなりましたが、日本国内でオッセオインテグレーションタイプのインプラントとして日本国内でブームを呼んだインプラントとしてブローネマルクインプタントとITIインプラントとIMZインプラントがありました。IMZインプラントはネジ形状ではなくシリンダー形状といい試験管のような形をしていました。IMZインプラントがモデルチェンジしたのがフリアットインプラントです。フリアットインプラントは先に行く程段階的に細くなり、歯根の形態を模倣しており、IMZインプラントからの乗り換えで流行りましたが、現在はアンキロスインプラントにスイッチされつつあるようです。

スエーデンではポストブローネマルクインプラントです。インターナルコネクションの草分けです。日本ではOSIの原先生、伊藤先生、寺西先生の門下生が使用しています。また、以前はササキから購入できたので、購入経路が直販ではまずい大学や公的病院の口腔外科での使用から日本では広まった模様です。


そもそもはストライカーが開発したインプラントで1985年から規格を変えていない老舗インプラントです。へんな形と思う人もいるかもしれませんが、薄くて長いフィンというのは今後の主流になる予感がします。日本で最初のインプラントセンターもブローネマルクインプラントからアストラインプラント、現在はバイコンインプラントを採用しています。海外の学会でも大きなブースを構えておりなかなか盛況です。以前ニューオリンズのAAPでは地元のケーブルテレビの1CHを朝から晩までバイコンインプラントのプロモートに使っており、さすがアメリカとびっくりしました。この樽のような形状は愛嬌があります。



キルシュが作ったドイツの名門インプラント リプレイスがこの3つのカム構造を応用したといわれています。
実はこのメーカーには何時もアメリカではあちこちに招待されて只飯にありついているので決して文句はありません。

アメリカサンディエゴ近郊にあるジンマーのインプラント工場の入り口

盟友伊藤先生と

ジンマー工場内部

インプラント検査行程

ジンマーはそもそも大手医科のメーカーですが、どんどん会社を吸収して大きくなった会社です、この会社が扱っているスクリューベントインプラントはそもそもはコアベントインプラントという古くからあるアメリカのインプラントメーカーです。カルシテックインプラントも傘下に入れ今やノーベルバイオケア、ストローマン、3Iバイオネット、デンツプライに次ぐ大手メーカーになりました。ジンマーのインプラント工場を視察に行きましたが、かつては別会社のカルシテックインプラントとスクリューベントインプラントが同一の生産ラインで製造されており、MP-1の表面処理が同じテーブルで行われていました。


現在このメーカーの主力インプラントは直径1.8ミリのミニインプラントで簡易インプラントとして、骨幅がない場合や力がかからないような義歯の維持のみの利用がメインです。




現在日本では白水貿易が輸入しています。


ブローネマルクインプラント リプレイスインプラント ノーベルダイレクトインプラント
ザイゴマインプラント スピーディーインプラント グルービーインプラント

泣く子も黙るノーベルバイオケア社で昔はノーベルファルマ社と言っていました。このノーベルファルマ社のインプランターDEC100がある歯科医院は老舗のインプラントロジストです。早く日本でもノーベルアクティブインプラントを日本で発売して欲しいです。



名古屋のインプラント専門医の吉岡喜久雄です。サンディエゴのAAP会場にて